日本キリスト改革派豊明教会

2012年9月2日「体は神の聖なる神殿」（コリント3章16－17節）

私たちは神の聖なる神殿である、と聖書は教えておりますが、これは一体どういう意味なのでしょうか。使徒パウロは、Ⅰコリント３：16で『あなたがたは、自分が神の神殿であり、神の霊が自分たちの内に住んでいることを知らないのですか』と語って、この驚くべき事実に目を留めるようにと勧めております。

私たちが神の聖なる神殿であることの意義の第一は、旧約における神殿は、あくまで新約の雛形に過ぎなかったということです。旧約聖書で繰り返し、神がその御名を置かれ、御自身の住まいとして聖別された神殿は、しかし、新約で紐解かれる奥義の前段階でしかありませんでした。それは例えばソロモンが、この壮大で煌びやかな神殿を建立し、国民を代表して祈りを捧げました時、『神は果たして地上にお住まいになるでしょうか。天も、天の天もあなたをお納めすることができません。わたしが建てたこの神殿など、なおふさわしくありません』（列王上８：27）と語っている通りです。未だなお多くの宗教においいて、いわゆる聖なる建物が建てられるわけですけれども、それはキリストにおいて現された神の真理を未だ知らぬが故です。私たちにはそのベールは取り除かれまして、旧き契約の時代に神殿という形で神がお示しになられましたのは、キリストとその体である私たちであった、ということが明らかにされました。

今回のテーマで注目していますのは、私たちの体ですけれども、その前に押さえておくべきことは、キリストを離れて体のことが考えられているのではなくて、いつもそれはキリストに属しているものとしての私たちの体のことなのだ、ということです。と言いますのも、ヨハネ２：19～22でこう言われているからです、『イエスは答えて言われた。「この神殿を壊してみよ。三日で建て直してみせる。」それでユダヤ人たちは、「この神殿は建てるのに46年もかかったのに、あなたは三日で建て直すのか」と言った。イエスの言われる神殿とは、御自分の体のことだったのである。イエスが死者の中から復活されたとき、弟子たちは、イエスがこう言われたのを思い出し、聖書とイエスの語られた言葉とを信じた』と。旧約聖書が本来指さしていた神殿とは、まず第一にイエス様の体のことであり、次いでそのキリストに結ばれて一つ体とされている私たちのことなのです。

それでは、イエス様の体や私たちの体が神殿であるとは、どういうことかを言いますと、これが第二点ですけれども、神が、いや神の霊が住まわれるということです。旧き契約の時代の神殿にしましても、そこに神が御自身の名を置かれず、そこを御自身の住まいとして聖別してくださらなければ、単なる人間が造った建物に過ぎません。普通の家と同じなのです。どこが違うのかと言えば、繰り返しになりますけれども、神が御自分の名を置かれるということ、そこを特別に御自身の住まいとしてくださるということ、そしてそこでは専らただ神のための事柄が行われるということです。翻して考えるならば、イエス様の体と私たちの体が神殿であるということは、特に私たちに関して言えば、この体に神が御自分の名を置き刻んで、これはわたしのものだと言ってくださるということ、また神の聖霊が私たちを御自身の住まいとしてくださっているということ、そして、この体を神のための業がなされるところとして聖別してくださったということなのです。イエス様がまさにそうであられました。イエス様の体、イエス様の五体は、初めから終わりまでただ父なる神様の喜ばれることのために献げられ、用いられました。これこそ神の神殿でなくてなんでしょう。私たちはこの神殿を地上から消し去って、神を追放しようとしたのですけれども、神がこのお方を復活させられました。私たちもまたイエス様にあって、神の聖なる神殿としていただけているのです。何と奥深い真理であることかと思います。

それ故に私たちはこの体の用い方に気をつけねばなりません。今朝の聖書箇所Ⅰコリント３：17で『神の神殿を壊す者がいれば、神はその人を滅ぼされるでしょう。神の神殿は聖なるものだからです。あなたがたはその神殿なのです』と言われている通り、神の神殿である私たちの体を壊さないようにと命じられています。ただこの場合の神の神殿というのは、私たち個々人の体ということよりも、キリストの体なる教会という意味合いが強いですね。つまり、新約聖書で体という時は、私たちそれぞれの肉体を意味することもあれば、ここのようにキリストの体である教会を指す場合もあるわけです。どちらにしましても私たちはキリストに属しているのであって、キリストを頭石とするこの住まいを破壊する者は大きな罰を受けることでありましょう。自分の信仰の弱さや理解の足り無さから、教会に争いや惑わしをもたらしてしまうことは、やむを得ないことだと聖書は告げます。その場合は、自分が神の教会を建てた、形成したと思ったその建物は、実際は御心に適わなかったために火で焼かれてしまうことになるわけですが、それでもって救いが取り消されることにはなりません。しかし、意図して分かってて教会を壊そうとする者がいるなら、当然神の罰を受けざるを得ないのです。

また私たちの体に関して言えば、聖書が勧める通り、この体を神様のために用いていきたいと思いますし、同時にキリストの名が刻まれ、聖霊が住んでくださっている住まいなのですから、健康管理も大事なわけです。自分の思いと力を越えた病気の場合は、自分の力ではどうしようもありせんけれども、できうるならば自分の体を大切に扱いたいものです。これもまた霊的なことなんですね。私たちが神の聖なる神殿であるということは、神の御子が肉を取って世に来られたというところに、その神秘があります。御子は霊魂で来られたわけではないのです。また人間には人に見えるような仮の姿を取られたわけでもありません。正真正銘、本物の人間の肉体をもって、地上を歩んでくださったのです。ここに、如何に神が私たちの肉体というものを大事に考えてくださっているかが、よく現れていましょう。神の御子は、完全に神であり、完全に人である方として、永遠に存在されます。人間の肉体性は重んじられ、尊ばれております。それ故に私たちは、神が御子キリストの名を刻み、御霊が御自身の住まいとしてくださるこのキリストの群れと、私たちの体とを大切にし、重んじたいと思うのです。アーメン。