2015年7月12日「神の約束どおり」（ルカ1章57-80節）
神様が約束なさったとおりにエリサベトに男の子が生まれました。周囲の人々は父の名を取ってザカリアと名付けようとしました。けれどもザカリアは神様から命じられたとおりその子をヨハネ（神は憐れみ深い）と名付けました。その時に彼の口は開き、神様を賛美し始めました。その内容が６８～７９節に記されています。
ザカリアは神様が私たちのために救いの角（救い主キリスト）をダビデの家から起こして下さったと言って喜んでいます。自分たちが待ち望んでいた救い主がいよいよおいでになります。ここに生まれた我が子ヨハネは人々の心をその救い主に向けさせる働きをすることになると告げられています。しかもそれは神様がアブラハム、ダビデにお立てになった契約の実現であって、預言者の口から語られてきたことなのです。神様の偉大な救いのご計画に、このような形で関わらせていただいたことをザカリアは驚き喜んで、神様をほめたたえています。
ザカリアは救い主がお生まれになることを「それは、我らの敵、すべて我らを憎む者の手からの救い」と語っています。１７節まで読み進みますとこの敵が「罪」であること、イエス様がもたらす救いが「罪の赦しによる救い」であることが明らかにされます。私たちはイエス様の十字架の贖いによって罪を赦されています。だから私たちはどんな時にも、神様の慈しみ深くあたたかいまなざしを信じて安心して歩むことができるのです。私たちの罪が赦されて神との平和の道を歩むために、イエス様がお生まれになりました。これは神様が私たちをあわれんでくださったことによるのです。
ザカリアとエリサベトについては「二人とも神の前に正しい人で、主の掟と定めをすべて守り、非のうちどころがなかった」（８節）と記されています。このように非の打ちどころのないザカリアでしたが、天使の言葉を信じることができませんでした。彼は天使に「何によって、わたしはそれを知ることが出来るのでしょうか。わたしは老人ですし、妻も年をとっています」（１８節）と答えています。自分たち夫婦に起こると告げられた神様のご計画を信じることができなかったのです。神様が自分を顧みてくださり、子を授けて下さり、しかもその子が主に先立って行く使命を持って生まれてくる、そのようなことが起こるとは思えなかったのです。そんなふうに神様が自分に目を留めて下さり、関わって下さるなどということは信じられなかったのです。
そんなザカリアの所に天使があらわれ一連の出来事が約束どおり起こりました。そのようにして神様が訪れて下さいました。ザカリアは話すことも聴くことも出来なかった期間、少なくとも10か月、自分の不信仰をも見つめていたはずです。神の前に正しく非の打ち所がない生活をしていながら神様の言葉を信じることが出来なかったザカリアは、ヨハネの誕生が近づく中で、自分の不信仰にもかかわらず神様が自分を確かに憐れんで下さったことに気づかされました。さらにザカリアは、この出来事が旧約聖書の神様の約束の実現であることにも、信仰の目が開かれていきました。「神様はご自分が立てられた契約をお忘れにならず、確実に進めておられた。神様の憐れみを忘れていたのは私の方だった」。ザカリアはそう思ったのではないでしょうか。旧約聖書のイスラエルの民は、神様の契約を忘れ、背信と不信仰を繰り返しました。それにもかかわらず、神様は民を見捨てることなく契約を実行され、救い主をお遣わしになりました。それは神様の憐れみによることでした。「これは我らの神の憐れみの心による」（７８節）。神の憐れみを忘れ、希望を失っていたザカリアは、神の憐れみの光に照らされ、喜んで神をほめたたえています。
「ヨハネ」の意味、「主は憐れみ深い」は、彼の指し示す救い主イエス・キリストによって実現しました。イエス様は私たちを「暗闇と死の陰」から救い出し、神の憐れみを信じて生きる「平和の道」に導いて下さいます。