日本キリスト改革派豊明教会

2016年9月18日「主イエスの喜び」（ルカ10章21-24節）

今朝もこうしてご一緒に礼拝をささげる幸いが与えられていることを感謝します。ここにいるひとりひとりが主イエスは救い主であると信じて、皆で救われる喜びを共にしたいと思っています。

１７～２０節には伝道から帰って来てめざましい成果を喜ぶ弟子たちにイエス様が、「むしろ、あなたがたの名が天に書き記されていることを喜びなさい」とおっしゃったことが記されています。

２１節からは、今度はイエス様ご自身が、弟子たちの名が天に書き記されていることをとても喜ばれ、神様を賛美されたことが記されています。１３節～１６節では、イエス様がご自分を受け入れない町々に対して心を痛めて悲しまれたことが記されましたが、そのことと合わせて読むと、今度は逆にイエス様が、ご自身を救い主として受け入れた弟子たちのことをどんなに喜んでおられたかが分かります。私たちの教会が、私たちひとりひとりが、このように主に喜ばれていることを深く心に刻まれるのです。私たちの、そして教会の状態は、そのときどきに変化します。順調に歩いていると思える時もあれば、心を痛めざるを得ない状態の時や、うずくまって前に進めないときもあります。しかしどんな時でもイエス様は私たちの名が天に記されていることを喜んでおられるのです。

主はその喜びの中で「これらのことを知恵ある者や賢い者には隠して、幼子のような者にお示しになりました」（２１節）と言われました。福音書に登場する「知恵ある者・賢い者」というと律法学者やファリサイ人たちを思い浮かべますが、彼らはイエス様を受け入れようとしませんでした。彼らは自分達が神の律法を守り、アブラハムを先祖とするから、神に祝福された者だと思っていました。要するに救われるためには自分で何とかなるのです。イエス様を喜び一緒に食卓についたのは徴税人や罪人と呼ばれる人たちでした。自分たちは神様に祝福されるような者ではないと認めて、ただイエス様の招きに頼るほかなかったからです。自分には神の救いにあずかる知恵があると思う人にはイエス様の救いが隠され、そうではない人にそれが示されたのです。

本当の神様は、人間がその賢い知恵で思索したり、社会現象や自然を調べたりしても分かりません。人間の側からの探究によって神様に出会うことは出来ないのです。私たちが本当の神様を知るのは、神様の側から私たちにご自身のことを教えて下さる以外には道はありません。イエス様が御自身をお示しになったのは聖書においてです。さらに、罪のために聖書を読んでも信じることができない私たちのために、聖霊が聖書の御言葉を用いて私たちの心を開いてくださって初めて、私たちは本当の神様に出会うことができるのです。私たちの知恵や力によるのではなく、神様が罪と死に捕えられた私を救って下さった、これは素晴らしいことです。自分が神様の御業の舞台となっていることを喜ぶのです。イエス様は、「すべてのことは、父からわたしに任せられています」（２２節）と言われましたが、誰をどのように救いに導くかを任されたイエス様が私を選び、その権威をもって自分の名を天に刻んで下さいました。そのように信じる信仰へと主は導いてくださるのです。

弟子たちは自分達の名が天に刻まれていることを、信仰の目で見るように導かれました。イエス様はそのことを幸いだと言われます。多くの預言者や王たちは、見ることが出来ませんでした。これは旧約聖書の人々のことが考えられます。旧約時代の預言者や王たちは、やがてくる救い主を待ち望みましたが、弟子たちは世に来て下さった救い主にお会いできているのです。私たちもまた、主が来られ、十字架と復活、昇天というイエス様の救い主としての御業を信仰の目をもって見ることができます。

イエス様は「父のほかに、子がどういう者であるかを知る者はなく、父がどういう方であるかを知る者は、子と、子が示そうと思う者のほかには、だれもいません」と言われました。ここには父なる神と子なる神の親しい交わりが表れされていますが、ここで注目したいのは「子が示そうと思う者」という御言葉です。これは誰のことでしょうか。それはイエス様が救いの恵みを示そうと思う人たち、その名が天に刻まれている人たちのことです。イエス様を救い主と信じ、自分の名が天に書き記されていることを喜ぶ人たちのこと、つまり信仰者のことです。ですから信仰者にとっては「子が示そうと思う者」の中に自分が入っていることになるのです。イエス様がこの私を選んで、神様を知る者としてくださった、ということです。ここには聖霊によって喜びに溢れた子なる神の、父なる神への賛美が記されています。その言葉には、私たちが視野に入っているのです。こうして私たちは父・子・聖霊なる神の救いの御業に巻き込まれ、天に結び合わされています。これは本当に素晴らしいことです。そのことを、イエス様が喜び祝っておられるのです。

私たちひとりひとりと教会の歩みにはいろいろな課題や悩みがあります。その中でたとえ小さな歩み、失敗だらけの歩みでも私たちはその都度祈り、神様が導いてくださっていることを信じて一歩ずつ歩んでいくことが出来ます。なぜなら私たちは天に結び合わされているからです。信仰者の歩みはイエス様の喜びの中にある歩みだからです。そのこと自体、私たちがイエス様によるサタンの勝利を見ているからだと言えるのです。この霊的な現実を見る信仰の目は幸いです。「子が示そうと思う者」というイエス様の言葉、これは私の事、あなたのことだと互いに喜びあうことができる、それが教会に与えられた恵みです。