日本キリスト改革派豊明教会

2016年11月27日「心の目が澄んでいれば」（ルカ11章33-36節）

「全身は輝いている」（３６節）というと、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。いろいろな分野で活躍している人を思い浮かべ、自分もあのように輝きたいと思うかもしれません。ここで聖書が語る「輝き」とはどのようなものなのでしょうか。

「目が澄んでいれば」（３４節）の「目」は「心の目」のこと、「澄んでいる」は「単一、シングル」ということです。つまりひとつのものに焦点をあわせて見つめている、ということを意味します。ですから心の目が見るべきものを見ていれば全身が明るいけれども、見るべきものが目の前にあっても目が濁っていて見ることが出来なければ全身が暗い、というのです。

ちょうど部屋の窓から光が射せば部屋全体が明るいように、心の目が光の射す方を向いていて光が入れば、体全体が明るく輝くのです。ですからここでいう輝きというのは、自分自身から出て来る光・輝きではなく、外から入ってくる光です。

私たちの心の目を窓、体全体を部屋にたとえるなら、私たちが心の目で何を見ているか、窓がどこを向いているかが大切です。見ているものが体全体・部屋全体の明るさや色彩を決めるからです。心の目が、怒りやねたみやをもって隣人を見ていれば全身にそれが映し出されます。富と名誉を向いていれば全身もまたそれを映し出した姿になります。それはその人の表情、言動、生き方に表れるでしょう。けれども私たちの目が、私たちを愛して下さる救い主を見ているなら、救い主の愛が私たちの表情、言動、生き方に映し出されて輝いてくるのです。

このように私たちを輝かせる光の源は私たちの外から内側へ入ってくるのです。その光はイエス・キリストです。このお方こそともし火、輝きの源泉なのです。私たちの心の目が主イエス・キリストをしっかり見つめているとき、キリストの光が心の目という窓から私たちの中に差し込んで来て、全身を明るく照らします。そのとき私たちは、キリストの光によって輝くことができるのです。月が自分から出る光によって輝くのではなく、太陽から出る光を反射して輝くのと同じです。「ともし火がその輝きであなたを照らすときのように、全身は輝いている」（３６節）のです。

イエス・キリストをしっかり見つめる時輝くということですが、では私たちはどうすればよいのでしょうか。それは神の御言葉である聖書の言葉に聞き従うことです。聖書の言葉はキリストによる救いの恵みを告げています。これを受け入れるとき私たちは生けるまことの神に愛され、今からのち永遠に神と共に生きることができるのです。主イエスの愛を喜び感謝して生きるとき、その輝きは私たちの表情、言動、生き方に顕れずにはいられません。しかも自分が明るく輝くだけで終わらず、周囲をその輝きで照らす者となるのです。周囲の人々が私たちのことを、確かな希望を持って生きていると感じられるようになるのです。それは自分の中にいくら探し求めても見出すことのできない、またどんなに自分を磨いても、決して作り出すことのできない確かな輝きです。

「だから、あなたの中にある光が消えていないか調べなさい」（３５節）。

神様は、私たちがキリストの救いという光を受け入れることを強く望んでおられます。永遠の神様の愛を受けとめて、平安と希望をもって生きるようにと強く望んでおられるのです。そのために主イエス・キリストは十字架にかかってくださいました。キリストの十字架を見れば、神様がどれほど私たちひとりひとりを愛しておられるかが分かります。私たちがもし自分の力で光をともし、輝かせなければならないとしたら、私たちはいつも自分を修練し高めて、自分の中から光輝くようにしなければなりません。しかしその輝きはいつ消えるか分からない不確かなものではないでしょうか。挫折することもあるでしょう。またどんなに表舞台で輝いていても、いつかはそこから降りなければならないときがきます。そのようにして輝きは消えていきます。そして消えたとたんにいいようのない寂しさや孤独を感じるのです。そうならないためにはいつも無理をして輝いているふりをしなければならなくなります。これでは結局深い闇に落ち込んでいくほかありません。しかしイエス様はその闇を十字架で背負い、死んでよみがえってくださったのです。それは私たちひとりひとりのためです。ですから私たちはもう自分で輝かなくてよいのです。私たちは主イエス・キリストによって闇から救われるのです。主イエスにあらわされた神の愛が私たちを照らすのです。これこそが何があっても消えることのない輝きです。キリストの光が私たちの心の目・窓から私たちひとりひとりの中に入ってきているから全身は明るいのです。

イエス様は、私たちが主イエス・キリストを見つめているかどうか調べなさい、と言われます。せっかく光が射しこんでいるのに、その光から目をそらしていないか、この光を穴蔵に入れたり、升の下に置くようなことをしていないか自分を吟味しなさいと主は言われます。イエス様はそうやって私たちの目を、ご自身のところに向けさせてくださいます。その時私たちはともし火をともして燭台の上に置くことになるのです。主イエスは聖書の言葉を用いて私たちと出会ってくださいます。私たちの目の前に主がおられ、私たちと共にいてくださるのです。神様はこの恵みを祈り求める人に、必ず与えてくださいます。天の父として「良いもの」、「聖霊」をくださり、私たちを主イエスと確かに結びつけてくださり、主イエス・キリストの愛という光で全身が輝くものとしてくださいます。これは教会も同様です。主イエス・キリストは私たちの教会を、ご自身の愛で輝かせ、新しい人を招き入れる信仰共同体としてくださるのです。

待降節第一主日、光であられる主イエス・キリストが、闇の世に来て下さったことを喜びつつ過ごしたいと思います。