日本キリスト改革派豊明教会

2018年5月20日「聖霊による教会と信仰」（使徒2章1-13節）

さきほどはひとりの兄弟の洗礼式が行われ、大きな喜びが私たちの教会に与えられました。洗礼式がペンテコステ記念礼拝に行われたことは、まことにふさわしいことです。ペンテコステの時に起こったことは、聖霊が弟子たちに降り、彼らが大胆に復活のイエス・キリストを語り始めたということです。聖霊降臨の記事には、ペトロが説教をし、それが世界各地からエルサレムに来ていたユダヤ人たちの心を打ち、その日３０００人もの人々が洗礼を受けたことが記されています。聖霊の働きによって弟子たちは語る者とされました。語る内容は、自分の考えや思想ではなく「聖霊が語らせるままに」です。それは「神の偉大な業」でした。神の偉大な業とは、神が独り子イエス・キリストをおつかわしくださり、地上を歩まれ、私たちの罪と死を背負って十字架上で死なれ、復活してくださったことによって、私たちは罪の赦しと永遠の命が与えられたこと、神の祝福の中を永遠に生きる者となったことでした。

こうしてはじまった世界宣教が、ここから全世界に広まり、現在に至っています。聖霊によって神の偉大な御業を語る者が起こされ、福音が伝えられることは聖霊のお働きです。今度は福音の宣教を聞く人の側から見ますと、聞く人々の中から、それを受け容れ、信じて洗礼を受ける人が起こされること、これもまた聖霊のお働きによるのです。聖霊のお働きは、私たちの心にイエス・キリストによる神の偉大な救いの業を信じる信仰を起こしてくださいます。そのようにして私たちを２０００年前に十字架にかけられ、死んでよみがえり、天に昇られたイエス・キリストと結び付けてくださるのです。このように福音が語られるという面と、福音が聴かれて信じる者が起こされるという両面から聖霊のお働きを見ることができます。ですから今日イエス・キリストを信じる私たちひとりひとりがここにいる事、教会で礼拝が行われていること、そして今日洗礼式が行われ、新しい神の民が加えられたことは、まさにペンテコステの出来事が私たちの所にまでつながっていることを意味します。それは聖霊のお働きが今私たちに臨んで行われていることを、見える形で示されていることになります。この恵みを共に喜び、神の御業を信仰の目をもって見て、主をほめたたえたいと思います。

「わたしたちは、世の霊ではなく、神からの霊を受けました。それで私たちは、神から恵みとして与えられたものを知るようになったのです」（Ⅰコリント２：１２）とあります。私たちが信仰を告白して洗礼を受け、教会に加えられることは聖霊を受けていることを表しています。神様のことは、神の霊によらなければ知ることはできません。ですから神様の救いの恵みを知っている人は、神の霊を受けている人であるということになります。私たちが神の前に罪人であり、イエス・キリストの贖いによって救われることは、人間の知恵からは出てきません。神様の霊によって初めて信じることができるのです。ですから今主を信じる私たちも、今日信仰を告白した兄弟も、神の霊を受けた、と大胆に言うことができるのです。洗礼を受けたからといって聖霊を受けたという実感がわかないこともあるかもしれません。しかし聖霊を実感するかどうかが問題ではありません。使徒信条に「われは聖霊を信ず」とあります。信じる信仰なのです。信じる人が起こされること、伝道者が起こされることに、私たちは聖霊のお働きを信じるのです。信仰の目をもって見るのです。

使徒言行録１章には復活のキリストに出会い、ペンテコステを待って備えている弟子たちのことが描かれています。２章の冒頭を読むと、聖霊降臨と１章で描かれたことが深くつながっていることが分かります。「五旬祭の日が来て」は原文では「ペンテコステ（五旬祭）の日数が満ちて」とあります。これはそれまでの経緯があることを示しています。「来て」ならその日だけに意味がありますが、「満ちて」というとき、それまでの満ちる経過が大切な意味をもつことになります。使徒達は心をひとつにして集まりました。彼らは教会として集まって祈ったのです。それは集まることと祈ることによって聖霊をお呼びした、ということではありません。彼らは「あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける」（１章８節）というイエス様の約束を信じたのです。これは使徒信条の「我は聖霊を信ず」に通じることだと思います。そして信じて待ちました。それは何もしないでいることではありません。集まって祈り、使徒の補充をする、私たちで言えば教会の働きをなしつつ祈って信じて待った、ということです。そのようにして聖霊の御業に備えたのです。

聖霊のお働きは今日も続いています。これからも続きます。五旬節は小麦の収穫感謝の祭です。初穂をささげるのですから、その後たくさんの収穫を予想あるいは約束しています。ここでは３０００人が回心したというのも、この後全世界に起こされる神の民の初穂ともいえるでしょう。私たちはまことに無力な者でありますが、私たちを用いて聖霊なる神が働いていくださるのです。主の約束された聖霊を信じて祈り、信仰生活と教会形成を共にしていきましょう。