2018年9月2日「復活のキリスト」（ルカ24章33-43節）
エルサレムに集まっていた弟子たちに復活の主が現れ、彼らの真ん中に立たれました。主はご自分の手や足をお見せになりましたが、弟子たちが喜びのあまりまだ信じられず、不思議がっているので、弟子たちが持っていた魚を彼らの前で食べられました。このようにしてイエス様はご自分が身体をもって復活されたことを示されたのです。しかも「食べるという日常生活で行われることをやってみせることによって、復活されたイエス様は、私たちの身近な生活の場に来て下さったとことをお示しになったのです。そのことによってイエス様は、私たちが日々の生活の営みをしているときにも、共におられることを示されました。
ですから「復活のキリストは心の中の問題ではありません。弟子たちがイエス様を思い出して「イエス様ならこんなときどうおっしゃるだろうか」と考えるようになった、ということではありません。この後も復活の主は弟子たちと生きて共に歩んでくださるのです。復活の主は今生きて私たちと共に歩み、聖書と祈りを用いて私たちに語り掛け、行くべき道を示し、開いてくださるのです。復活の主は、私たちの日常とかけ離れたところにおられるのではありません。私たちが信じることできているかどうか、疑っているかどうかにもかかわりなく、生きていて共にいてくださいます。私たちと共に歩んでくださっているのです。私たちの疑いや、どのくらい確かに信じられるかによって、復活の主が共に歩んでくださっていることがしぼんで小さくなったり、大きくなったりするのではありません。もしそうならそれこそ亡霊を見ているようなものです。しかし復活の主は確かにおられるのです。その確かさがここに示されています。
エマオで弟子たちの目が開かれたとき、主のお姿は見えなくなりました。この後昇天までの間復活されたイエス様は弟子たちに現れてくださいますが、その後はそのお姿は見えなくなります。主イエスを肉の目で見る時代が終わるのです。そして今その時代を私たちは生きています。それは見ないで信じる時代です。イエス様は、なかなか信じられない弟子たちのことを良く知っておられました。同じように主は、私たちの信仰の弱さをご存じであり、それを受けとめて私たちの群れに働きかけてくださいます。そして私たちの信仰の目を開いてくださり、日常生活の只中で、「あなたがたに平和があるように」と語り掛けてくださっているのです。
イエス様が魂だけでなく肉体をもって復活され、食事をされたということは、私たちに与えられる神の救いの御力も、私たちの魂だけでなく、肉体にも、体をもって営む生活にも及ぶことを意味します。その完成は終末において与えられます。もはや死もなく涙もない、病も怪我もない復活の身体をいただき、罪から全く清められた魂として私たちは復活の命を永遠に生きるのです。この世にある間はなお未完成のゆえに苦しみがあり、戦いがあります。しかしそれを、私たちの日常の生活の中で「平和があるように」という主の御声を聞きながら、その力に支えられながら歩むようにされています。もはや主をこの目でみなくても、その人間の感覚よりもずっと確かに、人間の感覚をはるかに超えて復活の主が私たちと共にいてくださるのです。
復活の主は信仰深く、疑い迷うことがない弟子たちに現れたのではありませんでした。ペトロは弟子たちの中でも最も信仰弱い人だったということもできるでしょう。三度も主を否定したのですから。そして他の使徒たちは婦人たちの知らせを聞いてたわごとだと思いました。エマオから引き返してきた弟子たちもイエス様とずっと一緒に歩いていながら気が付きませんでした。しかし主はそのような弟子たちの真ん中に立って、平和があるようにと祝福の言葉をくださったのです。それは彼らの歩みを「復活の主の平和があるように」するためでした。そこには主の強く深い愛があります。その愛によって彼らもまた、主を愛する愛に生きるようになりました。だから今、私たちの群れの真ん中にも復活の主がおられ、聖書を用いて「神の平和があるように」と語り掛け、主の平和に生きるようにしてくださっているのです。そして私たちひとりひとりの信仰の目を開いてくださり、それぞれの歩みにおいて、一緒にいてくださいます。ここに記されている主イエスのお働きによって、イエス様の十字架の死に落胆していた弟子たちを慰め、立ち上がらせ、復活の主を中心とした群れを建て直していかれました。同じ復活の主が私たちの群れと共に歩んでおられます。